独身用マイホームを手に入れよう


近年は生涯独身で暮らす人が増えたことで、独身用の平屋住宅が注目されるようになりましたが、まだまだ情報も物件も少ないのが現状です。

独身用住宅は注文住宅しかなく、床面積の単価で比較すると、建売住宅より少し割高です。
しかし、注文住宅でも購入方法を工夫することで安く手に入れることが可能で、独身用平屋住宅なら特別なこだわりがない限り、建物は1000万円以下で十分建てられます。

問題は土地ですが、土地は地域や条件によって差がありすぎるので、こちらでは建物のみの情報です。

実用性と低コストを重視した間取りの【独身用住宅の例】を用意しました。
価格は、土地、駐車場、柵、門扉、庭、出窓、バルコニー、テラス、玄関ポーチ、勝手口、住宅オプションなどに該当する装備は無しの予想価格です。
2階建ての例のエレベータは価格に含みますが、無しの場合は150~200万円安くなります。



                    ◆◆◆ 平屋 ワンルームタイプ ◆◆◆





                  ◆◆◆ 平屋 リビング寝室別タイプ ◆◆◆





                          ◆◆◆ 2階建てタイプ ◆◆◆



◆ 玄関について

  基本的に独身用住宅なので必要最小限の玄関にして、他の広さを優先しました。
  タイプ K、L は、立地条件に合わせて、位置と向きを変更可能です。

◆ 洗面台について

  幅の狭い場所でも設置できる 省スペースの製品 を参考にしました。

◆ 2階のトイレについて

  現代では2階にトイレを設置するのは標準ですが、トイレ無しの場合は予想価格から10~20万円安くなり、収納場所として利用できます。

◆ エレベータについて

  わずかなスペースでも設置可能な、三菱日立ホームエレベータ ジュニア を参考にしました。(車椅子非対応)
  住宅にエレベータを設置する例は少ないですが、エレベータ無しで考えられた間取りの中に、
  後からエレベータを設置するのは困難なので、あらかじめ間取りの中にエレベータの設置場所を確保しました。
  エレベータ無しの場合は、予想価格から150~200万円安くなり、1階2階共に収納場所として利用できます。




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平屋より2階建ての方がお得なのか?

近年は高齢化などの理由で平屋住宅も増えてきましたが、それでも住宅のほとんどは2階建てです。
周りを見渡しても2階建てばかりだと、家は2階建てにするのが当たり前だと、無意識のうちに思い込んでる人が多いのが現状です。

しかし、住む人にとって本当に2階建てが理想なのか、本当に2階建てはお得なのか、よく考える必要があります。

◆ 平屋の利点

・上り下り不要で利便性が良く生活が楽。
・家庭内事故でも割合が高い、階段からの転落による怪我のリスクがない。
・地震に強い。

◆ 2階建ての利点

・土地を有効利用できる。
・平屋と同じ床面積で比較した場合は建築費が安くなる。

平屋、2階建ての利点を比較すると、平屋は利便性を優先、2階建ては床面積あたりの安さが優先されていることが分かります。
特に2階建ては、狭い土地でも十分な床面積を確保できるのが最大の利点です。
しかし2階建ては、生活面において利点が少ないことが言えます。

安さは重要ですが、利便性などを犠牲にしてもいいほど安くできるのか、よく考える必要があります。

例えば、平屋の タイプG と、2階建ての タイプM で比較すると、

・タイプG 【平屋】
 総床面積 32畳
 必要な最低土地面積 28坪(建ぺい率60%の場合)

・タイプM 【2階建て】
 総床面積 36畳
 必要な最低土地面積 16坪(建ぺい率60%の場合)

2つのタイプを比較すると、総床面積は2階建ての タイプM の方が4畳分広く、必要な最低土地面積は12坪も少なくて済みます。
これだけを見ると、2階建ての タイプM はお得に見えますが、すでに30坪以上の土地がある場合や、購入する予定の土地が30坪以上ある場合は、タイプM を選択する価値は低くなります。

さらに2階建てにする上で、階段なども必要になるので、床面積が最大限に利用できないマイナス面もあります。



平屋には必要がない階段と、2階のトイレと、エレベーター(設置する場合)に必要な面積を確保しなきゃいけません。
そのため、平屋には存在しない、図の 赤、青、緑 の部分が必要になります。

エレベーター(緑)を設置しない場合でも、階段で約3畳分、2階のトイレで約1.3畳分、合わせて4.3畳分は、平屋よりも多く必要になる面積です。
そのため タイプM は、建物全体では タイプG より4畳分広くても、有効に使える面積は約4.3畳狭くなり、総床面積では少ない平屋の タイプG の方が少しではありますが有効床面積は広くなります。
タイプG と タイプM を見比べても、総床面積では4畳分狭い タイプG (平屋)の方が、ゆとりのある空間になっていることが分かると思います。

そして、2階建てにすることで必要になる階段などの面積の4.3畳分にも建築費が必要で、その額は80~110万円になります。
さらに平屋に比べて、2階建てを建てるために多く必要になる費用は、工事に必要になる足場の数と、その設置費用です。
平屋は低いので、足場の数も最小限で済みますが、2階建ての場合は、1.5~3倍の足場の数が必要になります。
建材などを2階に上げるための費用も平屋にはない費用です。

平屋に比べると、2階建てにはこれらの費用がかかりますが、平屋の場合は建築費の割合が高い基礎の面積と屋根の面積が広くなるので、どうしても平屋の方が多少は割高になりますが、総合的に考えた場合、わずかな建築費の差で、なおかつ土地にも余裕があるなら、利便性の良い平屋の方が老後のことも含め、長い目で見ても良い選択になると思います。



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注文住宅を安く手に入れるにはどうしたらよいのか

一番重要なことは、どの業者に注文するかです。 同じ仕様の住宅でも、注文する業者によって最大で2割ほど変わります。

いわゆる、ハウスメーカーと言われるところに注文住宅をお願いすると高額になることは有名です。
ハウスメーカーは、積水ハウス、ミサワホーム、ダイワハウス、トヨタホーム、など多数あります。

ハウスメーカーは住宅の注文を受けると、下請けの工務店に工事を発注するので、この段階で中間マージンが発生するので割高になります。
それならば、最初から工務店に直接注文すればよいわけです。

しかし、頼もうとしている会社がハウスメーカーなのか、工事を担当する工務店なのかすら分かりづらいこともあるので、実際に足を運んで確認することが大事です。

世間的によく言われている情報はここまでですが、さらに安くするための手段もあります。


ハウスメーカーはもちろんですが、工務店もほとんどの場合は社員が工事することはありません。
工務店から、さらに各専門業者の、木大工、設計士、電気工事、水道工事、基礎工事、外壁工事、住宅設備などに工事を発注することがほとんどです。
ひどい場合は、ハウスメーカー → 1次工務店 → 2次工務店 → 各専門業者 となることもあり、工事費とは無関係の中間マージンが増大します。
そのため、工務店の下請け工事をしている各専門業者に直接注文することで、工事費とは無関係の中間マージンをさらに抑えることができます。

しかし素人が、各専門業者に頼むのは困難なので、まとめて頼んでくれるところにお願いすることになります。
その役割をしているのが、『工務店』 なのですが、それでは中間マージンが発生してしまうので、実際に工事をする専門業者でも、リーダー的な立場になる業者に頼むことが大事です。
その、リーダー的立場になる業者は、木工事をする、いわゆる 『大工さん、頭領』 です。
大工さんのほとんどは、工務店のように会社規模ではなく個人事業主ですが、経験の長い大工さんになると、建築関係の各業者とのつながりを持っていることもあり、住宅の注文を受けたら、それぞれの専門業者に工事を発注してくれます。

そうなると、結局大工さんが工務店と同じ役割をして、中間マージンを取られるんじゃないかと思いがちですが、そこは大工さん次第でしょう。
仮に中間マージンを取られたとしても、ハウスメーカーや工務店のように会社規模になっているところに比べたら安いはずです。

私の経験では、地元の大工さんに平屋32坪の建物を注文して、約1,350万円で完成しました。坪単価に換算すると約42万円です。
一般的な工務店に注文住宅を頼むと、坪単価は50万円前後と言われてますので、私の場合は、総額で約250万円安く完成したことになります。

ネットで検索すると、『坪単価30万円で建てられる家』 などと格安の情報も出てきますが、条件が厳しくて不可能に近いか、思わぬ落とし穴があることもあります。
特に独身用の小さな家は、どうしても坪単価は高くなるので30万円は不可能です。
特殊な住宅じゃない限り、世間一般の木造注文住宅は、坪単価40~65万円です。


難しいのは、個人からの注文を受けてくれる 『大工さん、頭領』 をいかに見つけるかです。
大工さんは、店舗や事務所を持ってないこともあり、ごく普通の民家に住んでいることも多く、外から見ただけでは大工さんなのか分からないこともあります。
大工さんが見つかったとしても、各専門業者とのネットワークを持たず、工務店の仕事しかやらない大工さんも存在するので、必ず個人からの注文を受けてもらえるとは限りません。
注文を受けてもらえたとしても、工務店からの仕事が忙しい時は、工事着工まで待たされる可能性もあります。
個人からの注文を受けてくれる大工さんが見つからない時は、知り合いなどに注文住宅を作ってくれる大工さんがいないか聞いてみると見つかるかもしれません。


ここまでの情報をまとめてみると、割高なハウスメーカーは最悪のように感じますが良いこともあります。

ハウスメーカーは保証規定がしっかりしてるので、住み始めてから工事の不備などが見つかった時も安心です。
個人事業主の大工さんに注文した場合だと、何かあった場合、運悪く工事した大工さんが仕事をやめていた場合などは、他の業者に有料で修理をお願いすることになるリスクもあります。
ハウスメーカーでも、倒産していたら同じ結果ですが…。

ハウスメーカーは、常に新しい住宅事情を考え、研究開発しています。
個人事業主の大工さんに注文するより、はるかに割高なハウスメーカーですが、ハイテク装備を採用した最先端の住宅を求めるなら、大手ハウスメーカーの方が良いこともあります。
もし経験豊富で賢い大工さんなら、ハウスメーカーの最先端の住宅事情を理解していて、ハイテク建材や高機能設備などを採用する提案をしてくれるので、必ずしも個人事業主の大工さんは、ハイテク住宅が建てられないとは限りません。
一番良いのは、こだわりたい部分は自分で調べて、採用したい建材、工法、建具、設備の品番などを文書にまとめて、分かりやすくしてから注文することです。

例えは難しいですが、パソコンに置き換えると、
ハウスメーカーに注文する家は、NECやソニーなどの割高だけど付加価値のあるパソコン。
個人の大工さんに注文する家は、ショップブランドのシンプルで安いパソコン。
という感じだと思います。 どちらにも一長一短があります。

注文する業者によって建築費にかなり違いが出ること、ハウスメーカーに注文するメリット、個人事業主の大工さんに注文するメリット、分かっていただけましたか?



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注文住宅の建築費を抑えるには

 正方形に近く、シンプルな形の建物(間取り)にする

建設コストから見る理想の形

図A~Eは、どれもほぼ同じ面積ですが、形の違いによって建物の外周の長さが変わります。
図Aのように正方形の建物は、基礎コンクリートの外周の長さ、外壁の面積、壁の中の断熱材の量、雨どいの長さなどが必要最小限で済むので建築費を抑えられます。
図B、Cは、図Aに対して角も4箇所多いため建築費が高くなる原因になり、5種類の中では、図B がもっとも割高になることが予想できます。

建物の外周が長くなるほど、外気や太陽光に触れる面積も増えるため、その分建物全体が熱せられたり冷やされたりするので、季節によっては空調代が増すことも予想できます。
しかし、効率良く光を取り込みたい時は、建物の外周が長い 図B、E などは、窓が設置できる場所が多くなるので有利です。

 総2階建てにする

総2階建てにすることで、建築費の割合が高い基礎と屋根の面積を半分にすることができるため、合計床面積に対しての建築費を安くすることができます。
しかし平屋に比べると、2階建ては利便性が犠牲になります。
利便性の悪化は、エレベータの設置で多少改善しますが、それでも平屋に比べたら不利です。
エレベータを設置する場合は約200万円かかり、平屋の建築費より高額になってしまう可能性もあります。
土地や予算の都合で、どうしても2階建てにするしかない場合を除いて、独身用住宅は多少建築費が増しても、便利な平屋を強く推奨します。

 バルコニー、テラス、玄関ポーチ、勝手口を無しにする

一般的な住宅では、バルコニー、テラス、玄関ポーチ、勝手口が作られることが多いですが、生活スタイルや立地条件によっては、これらが不要になることもあります。
昔はバルコニーは洗濯物を干すために利用されることが多かったですが、近年では乾燥機能を持つ洗濯機の普及や、花粉などが洗濯物に付くことを避けるために、バルコニーに洗濯物を干さない例も増えています。
本当に必要か考えて、不要だと思うものは無しと注文しましょう。

 窓を減らす、窓の種類を変更する

建具の中でも窓は高額な部類に入るので、必要ない場所だったり、棚の後ろに隠れてしまうと思った場所には、窓の設置は無しと注文することで建築費を削減できます。
何も注文しない場合は、一定間隔で窓が設置されるのが一般的なので、窓が不要な場所は事前にはっきりさせておくことが大事です。
出窓もコストが高いので必要ないと思う場合は、出窓は無しと注文するとよいでしょう。

一言に窓と言っても、種類によって単価は大きく変わり、シングルガラスの窓、ペアガラスの窓、防音仕様の窓、結露しにくい樹脂サッシの窓、アクリルパネルの窓、その他いろいろあります。
近年では、標準でペアガラスの窓が採用されることが多いのですが、建築費を抑えるならシングルガラスの窓を注文すると良いでしょう。
しかしシングルガラスの窓は、結露しやすい、防音性が低い、断熱効果が低いなどのデメリットがあります。

 収納の扉を無しにする

収納場所には、必ずしも中を隠すための戸が必要とは限りません。
戸が必要ないと思う収納場所には、戸は無しにして部屋の一部にすることで建築費を削減できます。

 ガスを契約しない

ガスを使えるようにするために、ガス配管工事に費用がかかるのはもちろん、毎月の基本使用料が発生する上に使用単価も高いなど、ガスは何かと不経済なので、ガスにこだわりがない限り契約しないことを強くお勧めします。
ガスを契約しない場合、安価なガスコンロより割高なIHヒーターを使うことになりますが、ガス配管工事や基本使用料が必要になるガス契約に比べたら、はるかにIHヒーターの方が安くなります。
また、ガスコンロよりIHヒーターの方が、固定資産税が少し安くなる可能性があります。(地域によって違う場合もあるので詳しくは市役所などの税務科へ)

 給湯器を灯油式にする

近年ではオール電化が経済的ということで、電気式給湯器(エコキュートなど)を採用する例が多いですが、それは3人家族以上で生活した場合の話なので、1人で生活する独身住宅ではオール電化のメリットは少なく、給湯器の使用頻度が少ないと逆効果になることもあります。
電気式給湯器(ヒートポンプ式)の価格も設置費用も、灯油式の給湯器より割高なので、特にこだわりがない場合は灯油式給湯器がお勧めです。
ガス式の給湯器はもっとも不経済なので論外です。

 建材を選ぶ

屋根、外壁、内壁、天井、床、すべての建材には単価があるので、どんな建材が高いのか安いのか、自分の好みのものは高いのか安いのかなど、事前に業者と話し合って決めることが大事です。
単価だけでなく機能面も大事なので、単価と機能面の両方を考えて決めると良いでしょう。

 水周りの設備の位置をまとめる

トイレ、浴室、キッチンなどは、水道管や排水管の設置にかなり費用がかかるので、できる限り道路から近い場所に、まとめて設置することで、水道工事費を抑えることができます。

10 平屋の場合は基礎工事の簡素化が可能なのか相談する

近年の住宅では地震対策のこともあり、基礎工事にかかる費用が高くなっています。
しかし標準的な基礎工事は、2階建てを前提にした強度になっていて、平屋の場合は多少簡素化しても強度に問題がない可能性もあるので、基礎工事の費用削減が可能なのか事前に業者と相談しましょう。


建設コストを削減する方法は多数ありますが、人それぞれ住宅に対する好みやこだわりがあるので全部が適用できるとは思いませんが、必要なものと不要なものをはっきりさせることは大切です。
不要なものを省くことで、住宅取得税や毎年かかる固定資産税が安くなる可能性もあり、税金面でもお得になるかもしれません。



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注文住宅のヒント


独身用住宅に限らず、注文住宅を建てる時に重要なことをまとめました。


 テレビアンテナの設置と、室内にはアンテナ端子を設置する

テレビアンテナの設置と、テレビを置く予定の部屋にアンテナ端子を設置しておくと、後からアンテナ工事が不要になり、見た目も綺麗に仕上がります。
光テレビやケーブルテレビを契約する場合でも、後から壁に穴を開けなくてもいいように、事前に各事業者と相談しましょう。

 インターネット回線を引き込むためのパイプを設置しておく

通常、インターネット回線の設置は、住宅建築中にはできません。
そのため、住宅完成後にインターネット回線のケーブルが容易に引き込めるように、あらかじめ建物の外と中をつなぐパイプを設置しておくことをお勧めします。
見た目が綺麗に仕上がる上に、インターネットモデムや光電話を希望する場所に設置しやすくなります。

 必要に応じて有線LAN端子を設置する

インターネットモデムを置く場所と、デスクトップパソコンを置く部屋が違う場合は、デスクトップパソコンを置く部屋とインターネットモデムを置く場所それぞれの壁に有線LAN端子を設置し、壁の中を通したLANケーブルで接続できるようにしておくことをお勧めします。
デスクトップパソコンに限らず、テレビやゲーム機にも有線LANを接続できるようにしておくと、より安定したネット環境になります。
現代のテレビやゲーム機は、無線LANで接続可能なものが多いですが、ネット回線の安定性を重視する人には有線LAN端子の設置をお勧めします。

 アース付きコンセントを設置する

パソコンやテレビ、オーディオ機器などの電源コンセントには、機種によってはアース端子が付いているものもあるので、それらを置く場所のコンセントには、アース付きコンセントの設置をお勧めします。
有害な電源ノイズを減らして、安定した動作につながることが期待できます。

 エアコンの理想的な設置場所を事前に決めて、窓と干渉しないようにする

エアコンを設置する理想的な場所は、壁の一辺が短い方の中央です。
エアコンの風の吹き出し口を正面に設定した時に、部屋の真ん中を風が通り抜けるようにするのが理想です。
そのために、窓と干渉してエアコンが中央に設置できなくなることを防ぐために、窓の位置は天井から45cm下げてエアコンの設置スペースを確保しましょう。

エアコンを設置する時に窓が邪魔で、理想的な位置にエアコンが設置できない例が非常に多くあります。
住宅設計では、窓の位置は重要視されますが、エアコンの設置場所の重要性はほとんど無視されているのが現状です。
エアコンは部屋のどこに設置しても同じではなく、理想的な位置に設置することで効率の良い空調が可能になり、節電効果も高まります。
特に近年のエアコンには、部屋の状況や人がいる場所をセンサーで監視している機種が増えているので、センサーの感知範囲の最適化のためにも、理想的な位置にエアコンを設置したいものです。

 エアコン用の電源コンセントを必ず建築時に設置する

通常は各部屋にエアコン用の電源コンセントが設置されますが、注文住宅の場合は設置されない、または設置されるが設置場所の相談がなく勝手に位置決めされる可能性もあります。
勝手に位置決めされる場合は、窓との干渉を避けるために、部屋の隅に設置される可能性が高くなります。
それを避けるために、事前に理想的なエアコンの設置場所を決めて、適した位置にエアコン用電源コンセントを設置してもらいましょう。
部屋の広さによってエアコンに必要になる電源容量は異なり、おおよその目安で、10畳以下は 100V、20A、 10畳以上は 200V、20A のコンセントを設置します。

 冷蔵庫を入れる間口を確保する

住宅の中に入れる物で、サイズ的にドアが通らない問題で多いのが冷蔵庫です。
中型以上の冷蔵庫は、幅、奥行き共にドアの枠より大きいものが珍しくないので、大型の冷蔵庫を入れる場合は、標準のドアよりも幅の広いドアを設置する必要があります。
特に気密性の高いドアや防音ドアの場合は、ドア枠が太く内寸法が少ないものもあるので注意が必要です。
リビングとキッチンが一緒で、リビングのハイサッシから冷蔵庫が入れられる場合は、ドアの幅が狭くても問題ありません。

 大型家具と窓が干渉しないように、事前に大型家具の置き場所を決めておく

よくある例は、リビングにソファーなどの大型の家具を置く都合上、ハイサッシが犠牲になったり使い勝手が悪くなる例です。
このようなことを避けるため、あらかじめソファーなどの大型家具を置く場所を決めて、干渉しないように窓の位置や大きさを決めましょう。

 2階建ての場合は、玄関から直接階段に通じる間取りにする

ハウスメーカーなどの住宅の間取り例の中には、リビングに階段があったり、リビングを抜けないと階段に行けない間取りがありますが、私個人の考え方では、このような間取りはお勧めできません。
ひとりで住むなら問題ありませんが、特に子供と住むことが前提の場合は、玄関から直接2階の部屋に行ける間取りにするべきです。

同じ建物の中で生活してると、喧嘩して顔を合わせたくない時もあります。
そんな時にリビングを通らないと2階に行けない間取りでは気まずくなってしまいます。
子供が友達や恋人を家に連れてくる時も、リビングを通らないと部屋まで行けない間取りでは嫌がります。

 2部屋の子供部屋を可動式の間仕切りで仕切らない

可動式間仕切りは実用的に思える反面、その部屋を使う人には悪条件になることもあるのでお勧めしません。
子供が増えた時のことを考えて、ひとつの部屋を可動式の間仕切りで2部屋に分けられるようになっている例がありますが、可動式の間仕切りでは音が筒抜けになるので子供は嫌がります。
さらに可動式の間仕切りは断熱性が低いので、快適性が犠牲になったり電気代の無駄にもつながります。
可動式の間仕切りは建具としての単価も高いので、通常の壁で仕切るよりも建築費が高くなる可能性もあります。

 2階建ての場合は、2階にもトイレを設置する

睡眠時間を除いても、1階よりも2階の部屋で過ごす時間の方が長いことはよくあります。
特に子供がいる場合はなおさらです。
子供を含む家族で生活するなら、必ず2階にもトイレを設置しましょう。

 断熱対策をするのか、しないのか事前にはっきりさせる

暑さ寒さに強く、断熱対策を考える必要がない人には関係ありませんが、寒さに弱い人や節電意識が高い人にとっては断熱対策が重要です。
一言に断熱対策と言っても、どこまで本格的にやるかによって、追加で必要になる建築費が大きく変わります。

追加の建築費が不要な断熱対策で効果が高いのは、窓の数や面積を減らして窓から伝わる熱を最小限に抑えることです。

わずかな追加費用でも可能な断熱対策は、防音ドアを採用してドアの気密性を高めることです。
簡易的な防音ドアでも断熱効果は高く、3~4万円ほどの追加で断熱対策ができます。
断熱や防音が考えられてない標準ドアは、主にドアの下部分に大きな隙間があるので、エアコンなどで部屋の中と外の温度差ができると、空気の自然対流が起こるため、エアコンなどの効率が悪くなり、温まりにくい冷えにくいなど快適性が犠牲になったり、電気代の無駄にもなります。
引き戸も気密性が悪いものが多いので、断熱や節電を考える上ではマイナスです。

他には、床にクッションフロアをひいたり、窓を樹脂サッシとアクリルパネルにするなどで断熱対策ができます。
壁や床や天井を多重構造にするのも効果がありますが、その分は多少部屋が狭くなります。
壁の中の断熱材に、隙間ができない発泡ウレタンを採用するのも効果がありますが、20~30万円ほど追加費用がかかります。
熱を伝えにくいハイテク素材の外壁もありますが、これがもっとも追加費用が高いと思われます。
追加費用が高い対策ほど効果が高いとは限りません。

 状況に応じて換気手段を確保する

断熱対策のために気密性を高めた場合は、空気が汚れるのを防ぐために石油系暖房機器の使用はお勧めできませんが、それでも使う場合は換気対策が必要です。
効果的な対策として、タイマー動作できる吸排気式換気扇の採用です。
一定時間ごとに自動で換気できるようにしないと、空気が悪くなってしまいます。
キッチンがある場所の気密性を高めた場合は、標準的なレンジフードでは排気効率が悪くなり、調理中に出る油分や水蒸気を排出しきれなくなるので、吸排気式のレンジフードの採用をお勧めします。

 窓の位置や数、大きさを決める

まず、窓を設置することの、メリットとデメリットを知っておきましょう。

メリットは、電気を使わず室内を明るくできる、換気できる、開放感を得る、などです。
デメリットは、建築費の増加、防犯性の低下、耐震性の低下、断熱性の低下、防音性の低下、家具などの日焼けによる劣化、などです。

これらのメリットとデメリットを理解した上で、どの場所に、どれだけの数や大きさの窓を設置するのか考えましょう。
一言に窓と言っても、シングルガラスの窓、ペアガラスの窓、防音仕様の窓、結露しにくい樹脂サッシの窓、アクリルパネルの窓などいろいろあります。
窓の開き方もいろいろで、引き違い窓、外倒し窓、開き窓など、いろいろなタイプがあります。
窓を設置する場所に適したタイプを選びましょう。

 注文内容は必ず書面にまとめて建築屋に渡し、手元にもコピーを残す

口で伝えた注文は問題が起きた時に、言った言わないで揉める原因になるので、必ず具体的な書面にして渡し、手元にもコピーを残すことが大事です。


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